第5話、散歩・ウォーキングが身体に良い理由とは?

太「ふー・・・」

 

康「よお、太。何やってるんだ?」

 

太「おお、康君。健康のために走っててさ」

 

康「健康のため?」

 

太「そうそう。やっぱり健康のためには有酸素運動は効果あるんでしょ?この間食事療法では見当違いなことしてたから、今回こそ間違いない健康法にした!」

 

康「ちなみに健康になったのか?」

 

太「いや、今はまだだけど、徐々に体力ついたら元気になるでしょ」

 

康「何か変化はあったのか?」

 

太「夜良く眠れるようになったよ!布団に入ってすぐ眠れるから、不眠はなくなったと思う!」

 

康「え、じゃあ健康になってるじゃん」

 

太「うーん・・・良く眠れるようにはなったけど、朝起きてもなんかスッキリしないんだよね。でも、今がまだ体力ないから疲れてるだけで、ついてくればしっかり眠れるし、朝疲労もなくなるんじゃないかと思うんだ」

 

康「どのくらいのペースで走ってるんだ?」

 

太「頻度は週4くらいで、4キロを30分で走ってるかな」

 

康「走る日と走らない日で違いはあるのか?」

 

太「えっと・・・あれ?走っても走らなくても眠れてるけど、走らない日の方が疲れてない気がする」

 

康「まあ、そりゃそうだよな」

 

太「どういうこと?」

 

康「ジョギングがただ疲れためてるだけになってる可能性がある」

 

太「え、でも眠れるようになったんだよ?」

 

康「そうだな、それそのものは運動の効果だと思う。特に太の速度は時速8キロくらいで時間も30分と丁度良いくらいだな」

 

太「ん?早くて長ければそっちの方が良いんじゃないのか?」

 

康「体力をつけるためなら、な。でも太の目的は健康だろ?」

 

太「体力がつくと健康になるだろ?」

 

康「体力がつくと、不調の予防にはなるけど、治療にはならないんだ」

 

太「どういうことだ?」

 

康「目的によって、不調の治療と不調予防の効果に分かれるわけだけど、体力をつけるというのは、予防の方の効果になる」

 

太「じゃあ、俺が健康になりたい、っていうのは・・・」

 

康「予防じゃなくて、不調の治療だろ?その場合は、運動で重要になるのは、体力をつけるんじゃなくて、血流を良くすることだな」

 

太「睡眠が良くなったのは運動の治療効果ってことか。疲れが取れないのは?」

 

康「血流を良くするために運動したものの、疲労が溜まって、それが抜け切れてないって感じかな」

 

太「じゃあ、どうすれば良いんだ?」

 

康「単純に血流を良くする運動、有酸素運動で、負担の少ないものを選べばよい」

 

太「ってことは?」

 

康「散歩とかウォーキングだな」

 

太「ただ歩くだけで健康になるのか?」

 

康「勿論!なんだかんだいっても、歩くってのは全身運動になるからな」

 

太「ジョギングの方が強い運動だからよさそうだけど・・・」

 

康「そう、強い運動だから、ダメなんだよな。強い運動の場合、筋肉に負担をかける。そうなると、筋肉が固くなって、血流が悪くなる」

 

太「確かに、足の筋肉なんかは固くなってるな」

 

康「そうだろ?健康のために血流を良くしたい、というのが目的であれば、筋肉は固くしちゃいけない。ってことは、ジョギングだと負担が強すぎるんだ」

 

太「でも、歩くだけで血流が良くなるのか?」

 

康「じゃあ、そもそもジョギングで血流が良くなるのはなぜか知っているか?」

 

太「第二の心臓って言われるふくらはぎが、走っている間に使われるし、息が上がるからだろ?」

 

康「そうそう。ふくらはぎが働くのは、歩いてても同じだし、そもそも筋肉が固い場合、呼吸をしっかりとして酸素を取り込んでも、上手く運べないから意味がないんだ」

 

太「ってことは、ジョギングって何の意味もないのか?」

 

康「いや、先に言った通り、不調がなくて、体力をつけたい、という場合にはジョギングも勿論効果がある。ただ、日常的に体力をつけたいのであれば、あまり意味はないかな」

 

太「どういうことだ?」

 

康「走っている体力はつくから、運動なんかで息が上がる運動に対しては強くなるけど、デスクワークとか、立ち仕事とか、そういう筋肉を持続的に使う仕事に関しては、走る体力なんてのは関係ない。だから、日常生活の体力をつけたい場合には、単純に回復力を高めて健康になる方が効果的なんだ」

 

太「回復力を高める、と体力をつける、って同じにならなくないか?あとは、やっぱり走れる人は日常生活にも体力があるような気がするぞ?」

 

康「そうか?年配の会社員が若者よりも休憩せずに仕事していたり、走れないお年寄りが元気に山登りしてたり、農家のお年寄りが朝から昼まで仕事してたり、細い保育士さんが男よりも子供の抱っこを長くできたり、その仕事を続けている人の方が体力ないか?」

 

太「・・・確かにそういわれるとそうだな」

 

康「勿論、体力があるに越したことはないけどな。同じ動き、同じ姿勢を続ければ続けるほど、その動作での体力がつくんだ。走る体力はデスクワークには全く関係ないだろ?」

 

太「なるほどな。でも、回復力が体力、っていうのは?」

 

康「結局、同じ動きをするには、それで疲れた体を回復させて、再度同じ動きを繰り返す必要がある。だから、それで疲れても、次の日にはケロッとしていれば、徐々にちゃんと体力がつくんだ」

 

太「なるほどなぁ」

 

康「そして、そのためには、走る体力をつけるよりも、血流を良くしておくことが重要になる。だから、歩いて血流を良くする方が、結果的に日常生活の体力がつくことになる」

 

太「歩き方はなんでも良いのか?」

 

康「基本的に、不調の出ない歩き肩なら何でもよい。むしろ、変な意識はしないで歩く方が良いな」

 

太「よく胸を張って、かかとで着地して、つま先でけって、とかいうけど」

 

康「まず、健康な人を想像してみて。そんな歩き方してるの見たことある?アスリートでも良い。そんな歩き方してる人を俺は見たことないね」

 

太「でもそれが良い歩き方って言われないか?」

 

康「健康な人は自分の歩き方なんて気にしてないよ。健康な歩き方が出来ているから。不調が出る人は、普通とは違う歩き方を意識するから、余計におかしくなるんだ」

 

太「健康な人はそれが勝手にできてるんじゃなくて?」

 

康「むしろ、さっき言った3つを出来てない人の方が調子が良かったりする。ちなみに俺は全部気にしてないけど、健康で居られてる」

 

太「じゃあ、歩き方はどうすれば良いんだ?」

 

康「人によって歩き方の癖が変わるから、一概には言えないけど、もし歩いてて不調がないのであれば、特に歩き方に問題はない。問題はそれ以外にあると考えるべきだな」

 

太「なるほど。時間とかはどうすれば良いんだ?」

 

康「良く1万歩とかいうけど、俺は歩き過ぎだと思うね。勿論、歩く体力があって、歩くのが好きであれば、ある程度多くても良い。でも、多くても1.5万歩くらいかな。勿論、不調が出ず、次の日も元気なら多くても問題ない」

 

太「そうなのか。じゃあ、俺はとりあえず今から1時間歩いてくる!」

 

康「いや、太の場合は40分でくらいで良い」

 

太「なんでだ?」

 

康「ウォーキングは不調改善の効果があるとはいえ、即効性ではなく、徐々に変わるものだ。だから、できれば毎日続けるのが目標になる」

 

太「毎日1時間歩けば良いんだろ?」

 

康「毎日1時間歩くのって、かなりキツイぞ。だから、無理しない範囲で、次の日も頑張ろう、と思える程度の時間で良いんだ」

 

太「なるほどなぁ。ってことはまとめると」


 

・ジョギングの体力≠日常生活の体力

 

・健康になるための運動はウォーキング、散歩で十分

 

・歩く時の姿勢は自分がきつくない形

 

・胸を張る、かかと着地、つま先蹴りはご法度

 

・頻度を多めに出来るよう、一回は短時間で

 

・とにかく無理せず、少しずつ初めて見る

 


太「っていう感じかな」

 

康「そうそう、そんな感じ。まあ、まずはしてみて、無理がないか確かめるところからかな」

 

太「もしきつければ?」

 

康「時間をもう少し短くしても良いかも。20分とかでも良い。運動してると考えれば、20分継続して動くって実は凄いことだし」

 

太「そうなんだな・・・ありがとう!勉強になった!」

 

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